「記帳をしてください」と言われて、何をすればいいのか分からない。せどりを始めたばかりの方から、いちばん多くいただく相談です。
分からなくて当然です。記帳は学校で習いませんし、せどりの教材にもほとんど出てきません。この記事では、記帳とは何をすることなのかを、せどりの実務に絞って説明します。
記帳とは「お金の出入りを記録して、1年の成績表を作る作業」
ひとことで言うと、記帳は「事業のお金の出入りを、決まったルールで記録すること」です。
何のために記録するかというと、1年が終わったときに「今年はいくら売って、いくら使って、いくら残ったか」をまとめた書類を作るためです。この書類を決算書と呼びます。確定申告のときに提出する数字は、この決算書から出てきます。
つまり記帳は、申告のための下準備であると同時に、自分の事業の成績表を作る作業でもあります。「今月は本当に儲かっているのか」が分かるようになるのは、この記録があるからです。
せどりの記帳で記録するのは、この5つ
「お金の出入り」と言っても範囲が広いので、せどりで記録するものを5つに分けます。この5つが押さえられていれば、記帳の骨組みはできています。
1. 売上
商品が売れた金額です。Amazon、楽天市場、メルカリなど、販路ごとに「いつ、いくら売れたか」を記録します。
ここで最初につまずくのが、「口座に振り込まれた金額」と「売上」は別物だという点です。Amazonからの入金は、売上から手数料や広告費が引かれた後の金額です。入金額をそのまま売上にすると、売上も経費も少なく記録されてしまいます。
2. 仕入
販売するために買った商品の代金です。店舗で買っても、ネットで買っても、仕入は仕入です。
「買った日」と「支払った日」がずれることが多いのがせどりの特徴です。カードで仕入れると、買ったのは今月、口座から引き落とされるのは来月。記帳ではこの2つを分けて記録します。
3. 経費
商品代金以外で、事業のために使ったお金です。送料、梱包材、FBAの手数料、プライスターなどのツール代、ガソリン代、通信費などが該当します。
私用と事業用が混ざりやすいところなので、「事業のために使った」と説明できるものだけを記録します。
4. 支払い(カード・現金・ポイント)
何で払ったかの記録です。カード、現金、電子マネー、ポイント、ギフト券。せどりは支払手段が多く、これを記録しておかないと「カードの明細と帳簿が合わない」という状態がすぐに起きます。
支払手段ごとの処理は別の記事で詳しく書きますが、ここでは「何で払ったかも記録の対象」とだけ覚えてください。
5. 在庫
売れずに手元やFBA倉庫に残っている商品です。これは他の4つと違って、お金の動きではなく「残っているもの」の記録です。
なぜ在庫を記録するかというと、仕入れた商品のうち、売れた分だけが今年の原価になるからです。売れ残った分は来年の原価に回ります。在庫を数えないと、今年の利益が正しく出ません。せどりの利益が「なんだか合わない」と感じる原因の多くは、ここにあります。
どこに記録するのか
記録先は会計ソフトです。当社ではマネーフォワード クラウド会計を使っていますが、freeeでも構いません。
Excelでも記帳自体はできますが、おすすめしません。理由は、せどりは取引の数が多いからです。月に何百件という仕入と売上を手で打つのは現実的ではなく、会計ソフトなら銀行口座やカードの明細を自動で取り込めます。「何に記録するか」で迷っているなら、会計ソフトで始めるのがいちばん遠回りがありません。
どのくらいの頻度でやるのか
月に1回、月が終わったらその月の分をまとめて記録し、締める。これが基本のリズムです。
「年末にまとめてやればいい」と考える方が多いのですが、1年分を一度にやるのは、記帳に慣れている人でもきついです。何より、途中で自分の数字が見えないまま1年走ることになります。月1回で締めておけば、毎月の作業は数時間で済み、その月に儲かっているかどうかも分かります。
記帳が「できている」とは、どういう状態か
5つを記録すれば終わり、ではありません。記帳が完成したかどうかは、「帳簿の残高が、実物と合っているか」で判断します。
- 帳簿の預金残高と、通帳の残高が同じ
- 帳簿のカード未払残高と、カード会社の請求額が同じ
- 帳簿の売掛金(まだ入金されていない売上)と、販路の未入金額が同じ
- 帳簿の在庫金額と、実際に数えた在庫が同じ
この4つが合っていれば、その月の記帳は完成です。逆に、どれかが合っていないなら、どこかに記録漏れか二重記録があります。記帳とは「入力すること」ではなく「合わせること」だと考えると、やるべきことがはっきりします。
初めての人がよくする3つの勘違い
最後に、これから始める方が高い確率でつまずく点を3つ挙げておきます。
入金額を売上にしてしまう。 Amazonの入金は手数料を引いた後の金額です。売上と経費は分けて記録します。
仕入れた金額を全部その年の経費にしてしまう。 売れた分だけが原価です。売れ残りは在庫として来年に持ち越します。
レシートを貯めておけば記帳したことになると思っている。 レシートを保管するのは記帳とは別の作業です。保管は証拠を残すため、記帳は数字を記録するため。両方必要です。
まとめ
- 記帳は、お金の出入りを記録して1年の成績表(決算書)を作る作業
- せどりで記録するのは、売上・仕入・経費・支払い・在庫の5つ
- 記録先は会計ソフト、頻度は月1回
- 帳簿の残高が実物と合っていれば、その月の記帳は完成
まず全体像がつかめれば十分です。次は「そもそも記帳はしないといけないのか」と「確定申告までの1年の流れ」を読むと、記帳がどこにつながっているかが見えてきます。
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