「せどりって、記帳しないといけないんですか?」「副業で少ししか売っていないんですけど」。この質問には、はっきり答えられます。はい、必要です。
ただ、「決まりだから」で終わらせると、記帳は面倒な義務のままです。この記事では、なぜ必要なのかを制度の面と実務の面の両方から説明して、「どこまでやれば大丈夫か」の線まで引きます。
制度の答え:事業として売っているなら、帳簿をつけて保存する
せどりで得た利益は事業の所得です。事業の所得がある人には、取引を帳簿に記録して、その帳簿と証憑(レシートや明細)を保存する決まりがあります。本業か副業か、売上が大きいか小さいか、青色申告か白色申告かで、この決まり自体はなくなりません。
「いくら以上売ったら」という基準もありません。事業として始めた年から対象です。
線引きで迷うのは「自分の持ち物を処分しているだけ」の場合です。使わなくなった私物をメルカリで売るのは、この記事で扱う「せどりの記帳」とは別の話です。一方で、売るために仕入れている、安く買って高く売るのを繰り返している、という状態なら、それは事業として売っているということです。
個別に「自分は事業に当たるのか」を判断してほしい場合は、税務署か税理士に確認してください。当社は税理士ではないので、そこは踏み込めません。
実務の答え:帳簿がないと、困る場面が4つある
制度の話より、こちらの方が実感しやすいと思います。帳簿がない状態で1年走ると、次の4つで確実に困ります。
1. 確定申告ができない
申告書に書く売上や経費の数字は、帳簿から出てきます。帳簿がないと、申告のときに1年分の取引を思い出しながら数字を作ることになります。実際には思い出せないので、大まかな概算になり、それが正しいかどうかも分かりません。
2. 利益が分からない
せどりは「売上 − 仕入 = 利益」ではありません。売れた分の仕入だけが今年の原価で、売れ残りは在庫です。帳簿と棚卸がないと、この計算ができません。「儲かっている気がする」だけで仕入れを続けて、年末に在庫だけが増えている、という状態はここから生まれます。
3. 融資が受けられない
仕入れ資金を借りようとすると、銀行や公庫は決算書(または確定申告書の控え)を見ます。帳簿がなければ決算書は作れないので、審査の入口に立てません。「来年から本格的にやりたい」と思ったときに、今年の帳簿がないことが足かせになります。
4. 聞かれたときに説明できない
税務署から問い合わせや調査があったとき、根拠になるのは帳簿と証憑です。これがないと、売上や経費の説明ができず、相手の判断に委ねるしかなくなります。脅すつもりはありませんが、帳簿は自分を守る資料でもあります。
どこまでやれば「できている」と言えるか
必要だと分かっても、「完璧にやらないと意味がない」と思うと手が止まります。最低ラインはこの2つです。
1つ目は、毎月5つ(売上・仕入・経費・支払い・在庫)を記録して、月末に帳簿の残高を実物と合わせること。何を記録するかは記帳って、何をすることですか?で説明しています。
2つ目は、レシートや明細を残すこと。紙でも写真でも構いません。月ごとに封筒やフォルダで分けておけば十分です。帳簿と一緒に、原則7年保存します。
勘定科目の細かい使い分けや、仕訳の正確さは、この2つの後です。順番を間違えると、細部で疲れて全体が止まります。
自分でやるか、任せるか
記帳が必要だと分かったとき、道は2つあります。自分でやるか、任せるか。どちらが正解ということはなくて、自分の時間をどこに使いたいかで決まります。
- 自分でやる:会計ソフトを使えば、慣れると月に数時間です。仕組みを理解しておくと、任せる側に回ったときも帳簿を読めるようになります。学びながら進めたい方にはセドケイリサロンがあります
- 任せる:記帳の時間を仕入れや販売に回したい方には記帳代行があります。1年任せて正しい帳簿の形を見てから、翌年に自分で引き継ぐ方もいます
どちらを選ぶにしても、「記帳をしない」という選択肢だけはありません。始めるのは今月からで大丈夫です。
まとめ
- 売るために仕入れているなら、記帳は必要。売上の大小や副業かどうかは関係ない
- 帳簿がないと、申告・利益の把握・融資・説明の4つで困る
- 最低ラインは「毎月5つを記録して残高を合わせる」「レシートを残す」の2つ
- 完璧を目指すより、毎月続ける方が大事
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